名もなき若駒から、世界を制した王者へ
2011年3月2日、北海道日高町の戸川牧場で生まれたモーリス。父はジャパンカップを制したスクリーンヒーロー、母はメジロフランシスという血統ながら、幼少期は特筆すべき存在ではありませんでした。1歳時にサマーセールで150万円で落札され、翌年のトレーニングセールでは1,050万円でノーザンファームに購入されるなど、当初の評価は決して高くありませんでした。
2013年10月、京都競馬場の新馬戦でデビュー。2着に3馬身差をつける快勝で、2歳コースレコードを樹立しました。しかし、その後の重賞では思うような結果を出せず、3歳時には腰痛により長期休養を余儀なくされます。この時期、陣営はモーリスの将来を見据え、美浦の堀宣行厩舎へと転厩を決断しました。
2015年:覚醒の年
2015年、4歳となったモーリスは、堀厩舎のもとで本格的に覚醒します。1月の若潮賞を皮切りに、スピカステークス、ダービー卿チャレンジトロフィーと3連勝。そして6月の安田記念では、強豪を相手に堂々の勝利を収め、初のGⅠタイトルを獲得しました。その後もマイルチャンピオンシップ、香港マイルと勝ち進み、年間6戦全勝という圧巻の成績を残します。この活躍により、同年のJRA賞年度代表馬、最優秀短距離馬に選出されました。
2016年:中距離への挑戦と世界制覇
5歳となった2016年、モーリスはさらなる高みを目指し、中距離路線へと挑戦します。春には香港のチャンピオンズマイルを制し、秋には天皇賞(秋)で初の中距離GⅠ勝利を達成。そして12月の香港カップでは、世界の強豪を相手に圧巻の走りを見せ、2馬身差で勝利を収めました。この年、モーリスは世界ランキングで127ポンドを獲得し、アジアのマイル王としてその名を世界に轟かせました。
種牡馬としての新たな挑戦
現役を引退したモーリスは、種牡馬として新たなステージへと進みます。その産駒たちは、ピクシーナイト(2021年スプリンターズステークス勝利)、ジェラルディーナ(2022年エリザベス女王杯勝利)、ジャックドール(2023年大阪杯勝利)など、早くもGⅠタイトルを獲得し、父の偉大さを証明しています。
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