黄金の船が駆けた日々】──ゴールドシップ、波乱と歓喜の競走馬人生

灰色の流星、ゴールドシップ。
その名に込められた「黄金の船」のように、彼は日本競馬界を自由に、そして鮮やかに駆け抜けた。

2009年、北海道日高町の小さな牧場に生まれた一頭の芦毛の牡馬。
小さな父・ステイゴールドに、体格の大きな母・ポイントフラッグ。この両親から生まれたゴールドシップは、生まれながらにして“規格外”だった。

数奇な運命が、彼の競走馬人生の幕を開ける。
東日本大震災の影響で何度も育成地を転々としながらも、持ち前のタフネスでデビューを迎えたゴールドシップは、2歳7月に函館で初陣を飾る。ラスト一完歩で差し切ったその瞬間から、異彩は光っていた。


■ 栄光の2012年

内田博幸とコンビを組み、皐月賞を制覇。
誰もが外へ逃げる悪馬場の中、ゴールドシップだけが果敢にインを突いた。泥だらけになりながら、芦毛の巨体がグングンと加速する。
「これぞ、異端のクラシックホース」。誰もがそう確信した。

秋、神戸新聞杯から菊花賞へ。
ゆったり後方に構えながら、2周目には悠然と馬群を飲み込む。菊花賞も制し、堂々のクラシック二冠馬に輝く。
年末には有馬記念へ。出遅れながらも、最後の直線で大外一気。ファンの期待に応え、グランプリ制覇。
ゴールドシップは一躍、「時代の主役」へと躍り出た。


■ 気まぐれなる黄金船

彼の強さは規格外、だが彼の気まぐれもまた規格外だった。
宝塚記念での快勝、有馬記念での敗戦、天皇賞での取りこぼし、阪神大賞典での圧勝。
ゴールドシップは勝利と敗北を交互に繰り返し、ファンに「次は何を見せてくれるのか」という期待と不安を抱かせ続けた。

スタートでの大出遅れ、爆発的なまくり、信じがたいロングスパート。
どんなレースも、予想を超えた「ドラマ」へと変えてしまうのがゴールドシップだった。


■ 海外挑戦、そして帰還

2014年、ゴールドシップは夢を乗せ、凱旋門賞に挑戦する。
しかし、フランスの地で彼は苦戦を強いられた。直線では伸びず14着。
「世界は甘くない」――関係者たちの口から漏れた言葉は、彼の挑戦の尊さを物語っていた。

それでも彼は立ち止まらない。
帰国後、阪神大賞典で史上初の三連覇を達成し、宝塚記念ではファン投票1位に。
まさに「阪神競馬場の王」として、ファンに愛され続けた。


■ そして、伝説へ

6歳の2015年、彼はついに天皇賞(春)を制覇。
最後方から、これでもかと捲り上げる姿に、競馬場全体がどよめいた。
「これが、ゴールドシップだ」。
荒々しくも美しい、その勝利に涙したファンも多かった。

宝塚記念での立ち上がり大出遅れ、有馬記念での最後の激走。
すべてが、彼らしい”型破り”な物語だった。

2015年12月27日、有馬記念をもって引退。
ファンの大歓声に包まれながら、ゴールドシップはターフを去った。


【ゴールドシップ──心を掴み、心を揺らした馬】

勝ったときも、負けたときも、
ゴールドシップは常に“本気”だった。

彼の走りは、ただ速さを求めるものではない。
驚き、感動、興奮、そして何より「競馬のロマン」を私たちに教えてくれた。

今も耳を澄ませば聞こえてくる。
阪神競馬場の芝を、自由に駆ける白い船の音が――。

ありがとう、ゴールドシップ。
永遠に、私たちの心の中で走り続ける。

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