ラヴズオンリーユーただひとつの愛、世界を駆ける。

まだ雪の残る北海道安平町。ノーザンファームの静かな朝に、ひときわ美しい産声が響いた。2016年3月26日、彼女は生まれた。名は――ラヴズオンリーユー
父は名馬ディープインパクト。母ラヴズオンリーミーは、キングカメハメハの血を引く誇り高き牝馬。誰もがその血統に目を見張った。だが、彼女の物語は血統の呪縛から解き放たれるように、世界へと羽ばたく運命にあった。

1歳の夏、セレクトセールの競り場に並んだ彼女は、DMMドリームクラブによって1億7,280万円で落札される。その名は「ただひとつの愛」。彼女にはすでに、多くの“夢”が託されていた。

2018年11月、京都競馬場。初陣を飾る日、パドックに立ったラヴズオンリーユーは、どこか遠くを見ていた。「この場所では終わらない」とでも言いたげに。デビュー戦を快勝し、誰もが彼女の“本気”に気づいたのは、それから間もなくのことだった。

2019年春、無敗のまま挑んだオークス(優駿牝馬)。東京競馬場の緑の絨毯の上を、まるで羽ばたくように駆け抜ける。その瞳には、ライバルも、観客も、すべて映っていなかった。ただ、前だけを見ていた。
その勝利は、単なる栄冠ではなかった。「名牝」の誕生だった。

だが栄光には影がある。翌年、思うような結果が出せず、彼女は暗いトンネルの中にいた。「もう彼女は終わったのか」――そんな声もあった。
だが、ラヴズオンリーユーは負けなかった。

2021年、5歳。競走馬としては熟れすぎた年齢。しかし、そこからの彼女はまさに“奇跡”だった。京都記念で勝利を挙げ、香港のクイーンエリザベス2世カップでは世界の強豪を蹴散らす。
その勢いのまま、アメリカ・デルマーの地へと渡り、世界最高峰の祭典、ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ。未踏の大地に、日本馬が初めてその名を刻んだ夜――そこにいたのは、ただひとりの牝馬だった。

最後は再び香港、香港カップで堂々の勝利。日本調教馬として、初めて世界を制した牝馬。その姿に、人々は涙した。「彼女はどこまで行くのか」と。

2022年、東京競馬場での引退式。何千人ものファンがその美しい馬体を見つめ、拍手を送った。静かに頭を下げるその姿は、どんな王者よりも気高かった。

――そして、母となったラヴズオンリーユー。2023年、初子を産む。名は「ラヴズプレミアム」。血を継ぎ、意志を継ぎ、また新たな物語が始まろうとしている。

ラヴズオンリーユー。
その名は、愛そのものだった。
競馬界が語り継ぐ、“ただひとつの愛”――。

総合得点 -
0
  • スピード
    -
  • スタミナ
    -
  • 瞬発力
    -
  • パワー
    -
  • 勝負根性
    -
  • 精神力
    -
  • 自在性
    -

レビュー
0

まだクチコミが投稿されていません。
クチコミを書く

ラヴズオンリーユーただひとつの愛、世界を駆ける。

  • スピード必須

    星の数をお選びください
  • スタミナ必須

    星の数をお選びください
  • 瞬発力必須

    星の数をお選びください
  • パワー必須

    星の数をお選びください
  • 勝負根性必須

    星の数をお選びください
  • 精神力必須

    星の数をお選びください
  • 自在性必須

    星の数をお選びください

投票の注意点